今回はこの記事について検証します。
この記事については今読んでも、多くの部分では賛成です。
しかし、極めて大事な一部分だけは違う考えを今は持っています。
「声を荒立てる」は必要ない
元記事のこの一文。
「メチャクチャ怖い表情、でかい声、こわい言葉を二分以内で生徒にぶつける」
今だったら赤字の部分を訂正します。
今だったら叱ることに関して「声を荒立てる必要はない」という部分を付けくわえたいです。
「メチャクチャ怖い表情」はあった方がいいでしょう。空気感を変えるって意味で。「あれ?いつも優しい先生がなんか様子が違うぞ?」と思わせるのは効果ありです。でも、その後にわざわざ「でかい声、こわい言葉」は必要ないです。
本当に信頼されているのであれば、または風格があるのであれば、いつもと違う表情になるだけで空気感は変わります。空気感が変われば相当鈍感な生徒じゃない限り、異変を察知します。「ただごとじゃねぇぞ・・・」って、静かになることがほとんどではないでしょうか。
そしたら、少し間を開けて、声のトーンをいつもより落として「静かにしてもらっていいか?」くらいでだいぶ解決するような気がします。もし、解決しそうにないなら「〇〇くん、ちょっと教室の外まで来てもらっていい?」と連れて行って、1対1で「静かにしてもらっていいか?」で。
たぶんですけど、力がある講師だったらそれで十分だと思います。
叱るときは、表情を変えて間をおいて空気感をまず変えましょう。(変わるまで待つ。)「ただ事じゃない」と思えば生徒は静かになります。言葉はトーンを落として短く伝えましょう。場合によっては1対1で伝えましょう。
大きい声はリスク大
記事を書いた当時の私は本当に不勉強で未熟でしたね。まあ、「大きい声を出さなければ生徒をコントロールすることができない」なんて思ってるあたり、ド直球で未熟者です…
大きい声ってトラウマになっちゃう人もいるらしいです。とくに大人の男の人に大きい声を出されると、それが原因で男の人が怖くなっちゃったり・・・。塾の講師が原因で将来に渡って男の人が怖くなった…なんてことになったら、マズいですよね。勉強どころの話ではないと思うんです。人一人の人生が狂っちゃう可能性だってある訳だし。
退塾とかそういうレベルのリスクではなくて、人の人生を狂わせてしまうリスクがあるのではないか、と。そんな権利は誰にもない訳で。
さらに講師を雇っていると別の面のリスクもあるんです。仮に自分自身は大声を出していても、しっかり線引きができていたり、生徒との信頼関係を見たりして、うまく叱る術を使いこなせるかもしれません。でも、自分以外のスタッフは本当にそんな繊細な戦術を使いこなせるでしょうか。感情を抑えながら、言葉を選んで叱ることができるでしょうか。
もしかしたら、自分以外の講師は単純に「生徒を叱るときは大声で恫喝していいんだ。生徒を従わせるためには震え上がらせていいんだ。」なんて思っているかもしれません。それが増長して、いずれは「俺は生徒に対して何をやっても許される」みたいな凄まじい勘違いをしてしまうかもしれません。平気で暴言を放つかもしれません。そうなったら、塾の評判はがた落ちです。
「悪いことをやったときはちゃんと叱ってくれる熱心な塾」ではなく、「いきなり講師がキレる暴力塾」みたいな評価になっちゃいますから。
大声で怒鳴ることには大きなリスクがあります。生徒にトラウマを植え付ける可能性もあります。自分以外の講師を勘違いさせてしまう可能性もあります。大声で怒鳴ることはハッキリとおススメしません!
最後に。
なぜ今回この記事を書いたのか、という部分を少しだけ。
ブログを書き始めてからいろいろな方とお会いする機会を頂いてきました。
その中で、ごく少数ではありますがこう言われることがありました。
「私もM先生と同じで生徒が悪いことをしたときは、めちゃくちゃ”キレます”。」と。
そういう言葉を聞くたびに私は違和感を持ってきたんですね。
なんか違うな…って。
”M先生と同じで・・・キレます?”
おそらくですが、元記事にも”キレる”という表現は使ってないと思うんです。
私は”キレる”と”叱る”は明確に違うと思っています。(おそらく元記事を書いた当時もそこは同じように思っていたと思います。)
大声を出そうが、静かに言おうが、私の生徒さんに対するその時の感情は「どうにか変わって欲しい」の一点です。「ムカつく」とか「舐められたくない」とか、そういう感情は基本的にはないんですね。別に自分自身がムカつこうが、舐められようが、生徒さんが変わってくれて成績を上げてくれれば、仕事としては合格な訳ですから。
しかし、ブログの読者さんの中には、あの記事を誤解している方がいらっしゃるようで…(私の表現が拙いのがすべての元凶だと思います。)
「Mr.Mもそう言ってるから、生徒に対してはキレていいんだ!」と。
それを考えるとゾッとしました。
基本的に元ブログの当時の記事はそのままに残しておこうと思っているのですが、この記事については社会的責任もあるような気がして、今回修正しています。
「大声を出す=キレる」って意味で解釈されてしまうなら、いっそのこと「大声を出すことは全否定したい」な、と。とくに若い塾講師の方がこの記事を読んでいらっしゃったら、大声なんかを出さずに生徒たちをコントロールして成績を上げられる講師を目指してほしいな、と心から願います。
コメント