塾を起業してそこそこ経営が安定してくると、多くの人が考えることかもしれません。
「もう少ししたら人を雇って余裕ある生活したいなぁ~」ということを。
今回の記事はこれについて考えてみたいと思います。
1人社長の個人事業主に勤めたい人がいるかどうか?
今、一人塾長をやっていて「いつかは人を雇って余裕を持ちたいなぁ~」と考えている方にズバリ聞きます。
あなた自身は全く知らない一人社長の零細個人事業主のところに就職したいと思いますか?
ほとんどの人がNOというと思うんですよ。
まれに「いや、一人社長のところの方が経営を勉強できるし、あれこれ自分の思い通りにできそうだから俺は良いと思うよ♪」なんて言う人もいると思いますが、そんな人をあなた自身が雇いたいですか?雇ってもすぐに会社辞めて独立しちゃう人材ですよ?
「誰かに教室を任せて余裕を持ちたい」なんて思っているのに、雇ったその人が独立を考えていたり、または経営的なノウハウをごっそり持って行ったり…なんて不安があるのに余裕持って過ごせるでしょうか。
そんなことなら、むしろ「能力はそれほどなくても野心も低い…」と言う人の方が安全な気がします。
要はですね、普通に考えて1人社長の会社に就職しようなんて人はほぼいない訳です。いたとしたら相当の変わり者か、野心バリバリの人だと思います。もしくはほかに行先がないくらいスペックの低い人とか。
高い給与提示をすればあるいは?なんて考える人もいるかもしれませんけど、零細会社が異様に給料高いとか、メチャクチャ怪しいと思われそうですけどね。
「人生搾取系のブラック企業でしょ…」みたいに。
そう考えると、1人塾長が最初の正社員を雇うには、かなり大きな壁を超えないといけない…というのが分かると思います。
「いつかは人を雇って余裕を持ちたいなぁ~」程度の気持では、そのいつかは永遠に訪れることはないという…
1人社長の零細企業に勤めたい人など普通はいない。もしいるとすれば、普通じゃない人という現実…
縁故で繋ぐしかない!
結局、零細個人塾が最初の正社員を登用するには、縁故に頼るのがいちばんだと思います。
ちなみに私自身はアルバイト採用ではどこまで行っても、「人に任せて余裕をもって…」みたいにはならないと思ってます。
何だかんだでバイトはバイトです。ちょっと嫌になったら辞められます。(正社員でもそういう人はいますけど。)
すぐに辞めちゃうような人は責任感が低いですよね。責任感が低い人に教室を任せてたら、その間にとんでもない問題が発生するって普通にあると思うんですよ。
終業後の戸締りをし忘れるとか。ちょっと喉が渇いた瞬間に教室をあけて飲み物を買いに行っちゃうとか。そんなときに問題が起こったらヤバいですよね。
いや、正社員でもそういう問題が起こることはあると思うんです。でも、同じ問題が起こった場合でも、バイトだけに任せてたら、世間の評価はだいぶ違うと思うんですよね。「あの塾はバイトだけに任せて正社員がいないからこんな問題が起こったんだ!」みたいに。
まあこのあたりも「学生バイト」か「社会人バイト」かで、だいぶ世間の評価も変わるとは思いますが。
話を縁故採用に戻しましょう。
私の運営しているオンラインサロンでも、今年、正社員を雇い始めた経営者さん達がいらっしゃいますが、「元バイト」だったり、「元塾生」だったり、縁故が多いですよね。あとは「知り合い」とか。
結局、1人零細企業の壁を突破するには、人の縁を使うのがいちばん効果があるような気がします。縁故採用であれば、異様に野心が高い人材とか、異様にスペックが低い人材とか、そういう危険人材を避けられる可能性が高いと感じます。
1人社長(1人塾長)が良い人材を獲得するには、なんだかんだで縁故(卒業生、元バイト、知り合い)が強力。
人に任せて生徒が減る覚悟ができるか?
人に任せるということは「自分はやらない」ということです。
創業者はその塾で最強プレイヤーです。その最強プレーヤーが少なくとも人に任せるその一瞬は抜ける訳ですよね。当然、その瞬間はサービスの質は落ちる訳です。(もちろん、任せられた人が成長して創業者とほぼ同じレベルで教室を回せるときも来るかもしれませんが、すぐには無理だと思います。)
創業者が「自分と同じようにやってほしい」という感覚で、「誰かに任せよう」って言うのは、個人的にはだいぶ図々しい話だと思ってます。もし仮に、任せた人がいきなり自分同等にできるのであれば、その人はきっと早い段階で独立するのではないでしょうか。
任せられた人は「自分と同じにはできない」、もっと言えば「自分よりできなくて当たり前」なわけです。つまり、任せた途端に生徒が減るというのは、ある意味当たり前なのかもしれません。任せられた人が悪いわけでは決してないんです。創業者より上手くできる人なんか、ほぼいない訳ですから。
たぶんですけど、まず最初の正社員を雇った人の多くが、始めはぜんぜん楽にならないと思います。業務量的には楽になるのかもしれません。でも、精神的にはぜんぜん一人でやってた時の方が楽だったりします。
たとえば、土曜日の1日を雇った正社員の先生に任せる。自分は塾には出勤しない。休めるかって言うと、休めないんですよ。それこそ、「本当にあの人は今日時間通りに教室を開けてくれただろうか…」から始まって、「問い合わせは来てないだろうか。来てたらちゃんと返信してるだろうか。」とか、「生徒に伝えてほしい連絡はちゃんとしているだろうか」とか、しまいには「戸締りはしっかりしただろうか。エアコンはちゃんと消しただろうか。」なんてことまで不安になる訳です。
で、その不安に耐えられなくなって、教室に電話をしてしまったり…。何かあったときのために、結局、休みなのに遠出はできなかったり…。
楽になってないのに人件費はムチャクチャ上がって、生徒数はそれほど変わらない…
「一体、この状況は何なんだ?」みたいな気持ちってけっこう多くの「一人塾長+1」状態になった方が迎えることなのかなって。
「本当に人に任せて余裕をもって」という生活は、その状況を超えてこそ…だと思います。
まだまだ私も偉そうに言えるような状況でもないのですが。
私自身は現在はスタッフに教室を任せても、かなり安心して休みをもらうことができています。紆余曲折ありましたが、いろいろ問題を乗り越えて(スタッフ達が乗り越えてくれて)ようやく信頼できるスタッフ達に囲まれて仕事ができるようになっていると思います。
非常にスタッフ達が頑張ってくれるので、楽をしていると私自身が見限られてしまうのではないか…というプレッシャーはありますが。
「人に任せて余裕を持とう!」というチャレンジを3回くらい繰り返して、ようやくたどり着いた感じです。そこには私だけではなく、…と言うよりも私以上に周りのスタッフ達が努力してくれたり、我慢してくれたり、意識を高く持ってくれたり、ということが重なってたどり着いた環境だと思っています。
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